民法には、共同相続人の中に被相続人から次のような予め財産分与的なものを遺贈により受ける又は生前贈与により受けていたと見られるものがあるときは、共同相続人間の公平を図るために、これを遺産分割時に特別受益額として精算する考え方があります。遺産分割協議をするときに考慮すべきものの一つです。
1. | 財産を遺言で特別にもらうことになっている場合。 |
2. | 婚姻、養子縁組のための贈与を受けている場合。 支度金や持参金などをいいます。 |
3. | 生計の資本のための贈与。 特定の子供等に高等教育を受けさせるための費用、持家を取得するための資金援助、開業資金の負担等。但し、家族の生活費等の扶養義務履行のための費用は上記の特別受益には該当しないと考えられています。 |
特別受益者の相続分 =
(相続開始時の財産の価額+その贈与の価額) × 相続分 - その遺贈又は贈与の価額
被相続人が生前、その贈与に対して持ち戻し免除の意思表示をしていた場合又は遺言においてその財産の遺贈に対して持ち戻し免除の意思が明らかにされていた場合には、上記の持ち戻し計算は行われません。
ただ、その持ち戻しが免除されることによって他の相続人の遺留分を侵害する場合には
その限りにおいて遺留分の減殺請求を受けることが予想されます。
また、特別受益額が本来の相続分より多くても他の相続人の遺留分を侵害していない限りその超過分を返還する必要はありませんが、この場合に新たに財産を取得することはできません。
特別受益の対象となった贈与された財産の価額は、その相続開始時の時価とされます。
例えば、贈与を受けた者の責任によりその財産が焼失したり、紛失したり、売却されていたりしたいてその者の手許にないとき、又はその財産価値に増減があったようなときでもその財産が相続開始時に現状のままあるものとみなして評価されることとなります。
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